2011年02月06日

ことばと思考/今井むつみ



今井むつみ(2011)『ことばと思考』岩波新書
私たちは、ことばを通して世界を見たり、ものごとを考えたりする。では、異なる言語を話す日本人と外国人では、認識や思考のあり方は異なるのだろうか。「前・後・左・右」のない言語の位置表現、ことばの獲得が子どもの思考に与える影響など、興味深い調査・実験の成果をふんだんに紹介しながら、認知心理学の立場から語る。(紹介はアマゾンより引用)


デジタルデバイスと全く関係ない話ですが、最近読んだ面白い本を紹介します。


ことばと思考の関係・・・


世界にはさまざまな言語があります。その数は、3000とも言われていますしそれ以上とも言われています。
何をもって一つの言語と定義するかで変わります。

さて、ことばというものは、言語によって大きな隔たりがあります。

日本人の我々が知っている言語間の大きな隔たりは、例えばスペイン語やフランス語などに見られる文法性(女性名詞男性名詞中性名詞等)や、その名詞が加算か不加算かで区別する名詞区分・・・そういう違いですね。
あるいは発音でしょうか?
英語ではrとlを区別しますが、どちらも日本語話者にはラ行音にしか聞こえないとか…


でも、世界を見渡すと隔たりはそれだけではないのです。


たとえば我々が使っていることばの中に「右」や「左」がありますよね。
それらの概念がない言語もあるそうです。本書で紹介されています。

本書の面白いところは、そういった事情に加えて、実験を行い証明をしている、あるいはその実験を引用しているところです。
現象の紹介にとどまらず、その現象から類推できることを実験をもって証明し、そこからことばが思考や認知にどのような影響を持つのか迫っていくのです。


たとえば、右や左がない言語ではどうやって位置関係を表すのか・・・・彼らは、東西南北の方位によって位置関係を表すらしいです。
常に彼らは、位置関係を東西南北であらわし、つまり彼らは指差した方向が、瞬時に把握できるということです。
実験では例えば、その人々を車に乗せ100km離れたところにおろします。そして、自分の家の方角をさしてもらいます。
すると驚くべきことに彼らは、ほぼ正確に自分の家を指すそうです。


多言語同士の比較と共に、もう一つの比較対象が本書では多く取り上げられています。
それは言語を持たないものです。
それは動物だったり赤ちゃんだったりします。

言語を持たない動物や、言語習得過程にいる赤ちゃん・・・そして多言語比較。それらの実験から、著者は多くのことを明らかにします。


実に面白く明快。

言語学の難しい専門用語はほとんど出てきません。専門用語出てきても、全然難しくありません。すごく面白いです。ぜひ読んでみてください。常識というものはいとも簡単に崩れます。



この世界には


色の基礎語を二つしか持たない言語もあり、
「右」「左」東西南北を持たない言語もあり、
物を持つ動作に13もの基礎語を持つ言語もあり、
オレンジキャットと言えば茶色い猫も含まれ、
青信号は緑で、
茶封筒は黄色くて、
数の区別がホイ(上がるピッチ)かホイ(さがるピッチ)あとは「たくさん」の区別しかない言語もあり、


実に様々、驚くべき(日本人にとっては)言語が存在する。
逆に

十以上もの色の基本語を持つ日本語や英語は全体の数からいえば少数派であり、
「走る」動詞一つしかないのは、英語やスペイン語から見れば不思議であり、
objectの正確な訳は加算不加算を区別しない日本語では非常に難しい・・・・


ともかく、おもしろい。









posted by Y1 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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